人は、育てられ方次第でどんな才能を発揮するのかが決まります。
子供を教育することに、
私たちはもっと意識をむけなくてはいけないのでは?と思ったのが
山岡荘八が描いた伊達政宗を読んでからです。
父親から溺愛されていた政宗は、
英才教育を受けて育ちました。
教育者として選ばれたのは虎哉禅師。
虎哉禅師の教えは
「もともと仏教には悪魔もなければ神もない。あるのはただ生きている種々雑多な人間だけ。
この人間に正しい知識をまず与え、さてその知識を生活の中の知恵として活かすことを教えてゆく。
それを正覚として、正覚を得たものを仏と言っているのにすぎない。
しかしそれでは凡夫は寄ってこない。
そこで、あれこれ効験だの、利益だのと、小乗的な餌を構えてゆくのだが、時にその餌もまた大きな正覚に通じてゆく場合がある。」
自然のなかで、自然の力をいただきながら生きていく知恵。
ここがあってはじめて学問が役に立つ。
現代を生きる私たちは、
最も大事な部分がすっぽりと抜け落ちている気がします。
「もともと人間は天地自然の大生命につながる同源の生きものだ。
それが縁あって正覚を得れば伸び、縁なくてよき師に会わねば枯れ蔓と化していく。」
政宗はよき師に出会い、
大事なことを教わり、
才能を発揮したのだということがわかります。
自然にはすばらしいパワーが宿っています。
そのパワーをいただきながら生きていくことがセルフケアでも大事。
東洋医学も、仏教も、そしてそのほかの宗教も
表現の仕方がちがうだけで、おなじことを伝えているものだと思うのです。
この本では
自然との結びつきを感じる表現がいろんなところに転がっています。
例えば、
政宗が元服した際の祝いの言葉。
「お芽出度うございます」という漢字で表されています。
当て字らしいのですが、
祝いの言葉に「芽が出る」を当てたということから、
自然への感謝と敬意が感じられますね。
自然と離れてしまった私たち。
テストの点数や、人との比較で育てられる子供。
親も周りに流されてしまいがちですが、
学問を身につける前にもっと大事なことを
伝えていくことが教育の基本かもしれません。
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